フィンランドの工事現場は力強い
フィンランドのどこへいってもとても静かです。かと言って街の開発が全く行われていないわけではありません。時には大規模は道路工事が行われています。そのペースはあまり速くないように感じられ、また、工事現場で働くひとも日本ほど多くないので、あまり気が付かないのですが、やや大きな工事現場の傍を通りかかりました。主要道路の向こう側、手前には春の風物詩である野生の菜の花が咲き乱れています。
フィンランドの工事現場の特徴は岩盤です。フィンランドではむき出しになった岩盤を目にすることが多く、この土地が長い歴史を持つのを感じる事ができます。フィンランドには18万8000ほどの湖と17万9000ほどの島がありますが、それは氷河時代に形作られたものです。氷河が大陸を削り取り、そして残ったのが湖と島々。そしてこの地盤を作りました。フィンランドの地盤の殆どが花崗岩(日本では御影石と呼ばれることもある)です。花崗岩は水(海)がないと出来ないので氷河時代に氷河に覆われていたことと関係があるのかもしれません。
したがって工事現場では大きな岩が山となります。フィンランドの地盤は固いです。地面を掘るというより地盤を破壊するのが工事の基礎作りの作業となります。東日本大震災の後に放射性廃棄物の処理の仕方が話題に上ることが多くなりましたが、フィンランドではこの固い地盤を活かし、地下520メートルの深さまで穴を掘り、そこに放射性廃棄物を埋める計画(オンカロ)が進んでいます。花崗岩の固い地盤ゆえになせる業です。
こうした岩が山積みになるせいかフィンランドの工事現場には力強さを感じます。何故かひとは少なく大きなマシンが並ぶ工事現場、その向こう側には新しいアパートが並んでいる、こうした場所はフィンランドで徐々に増えてきた風景の一つです。古い歴史のある街がなくなってしまうのでは?という心配はいりません。この国の都市計画は、歴史の価値を大切にしています。街の景観は、都市計画の重要な要素のひとつです。