ある日のフィンランドの家庭料理
日本に様々な国の料理があります。欧州の国の料理としてはフレンチを始め、イタリア、スペイン、ドイツ、スイスなどそれぞれの特徴を活かした料理に舌鼓を打つのはとても新鮮で楽しい時間です。北欧料理といってまず思いつくのはノルウェーサーモンでしょうか?次に思い出すのは、IKEAで食べられる肉団子くらいかもしれません。フィンランドの料理は? ちょっと謎に包まれています。
一般に北に位置する国の料理はシンプルです。かつては物流が整っておらず、かつEUのような経済圏も存在していませんでした。自国内での自給自足をしようとすると食材が限られてきます。フィンランドはほぼ北極圏に位置しまた国土の殆どが森か湖です。海はヘルシンキ湾など国土の南側だけ。ノルウェーのように長い海岸線を持っているわけでもありません。それゆえ食文化が発達する環境にはありませんでした。
日本のお米にあたるのはドイツ同様ジャガイモです。茹でただけのジャガイモで味はつけていませんが、日本のものよりやや甘みを感じる気がします。この日のメインディッシュ?はニシン(へリング)でした。フィンランドで魚を食べるとき、原型をとどめている料理はあまり多くありません。ニシンと何かの野菜?それをチーズと塩コショウ、ハーブで炒めたもの。どちらかというとジャガイモにつけるソースという意味合いが強そうです。ジャガイモはフィンランドの食卓では常に主役なのです。
新鮮な野菜はスペインやベルギーから輸入されたものでフィンランド国産のものは夏至以降に市場に出回ってきます。そしてカッテージチーズが添えられました。添えられたといってもフィンランドの家庭では全員がセルフサービスなので、これらが並べられていたり或いは鍋の中に入ったままのものを自分で盛り付けしていきます。お代わりも勝手。コーヒーは誰かが作りますが、そこまで取りにいって飲むのは自分でやらなくてはいけません。
フィンランドに行けばなぜフィンランド料理のレストランがないかわかるかもしれません。逆にどこかにフィンランド料理のレストランがあったとしたらシェフの創意を凝らした料理が並んでいることになります。それでも地元のものは何でもおいしい、そう思ってフィンランド料理を楽しむのが一番です。