ヘルシンキ大学図書館のデザイン

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ヘルシンキ大学図書館のデザイン

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 ヘルシンキの街中には新しい建物も数多くあります。東欧やロシア(ソビエト?)の影響を受けたような無機的な建物も少なくありません。その一方で街との調和を大切にする動きは高まってきています。古い街並みは街のキャラクターであり街の価値であるという認識がしっかりできています。ヘルシンキ大学シティキャンパスの一角には図書館が併設されています。その建物は見事に街の風景と一体化しかつモダンな側面を見せてくれます。

 

 この建物はKaisa Houseと呼ばれており2012年に完成しました。16000平米の広さの図書館はフィンランドの大学図書館としては最大規模を誇ります。ヘルシンキ大学図書館と言っても組織上はヘルシンキ大学から独立しています。誰でも利用することができ、15歳以上のフィンランド国民なら誰でも本を借りる事が可能です。ここは開かれた図書館です。

 デザインの入札は2007年から2008年にかけて行われ、フィンランドのAnttinen Oiva Architectsのデザイナー Vega Oivaのデザインが選ばれました。Oivaによればデザインする上で考慮した要素は、もともと街に存在するCityscape。特に材質、デザイン(街並み)と高さに拘ったとのこと。

 その結果、周辺の古い建物とマッチしまた緩いカーブを描いている道とも一体感を出しています。その一方で中心には大きなガラスを採用し現代的なデザインも織り込んでいます。このデザインは高く評価され数々の賞を受けることとなりました。

 街の景観を最重要な要素と捉え建物をデザインするという発想はこの国においては当たり前なことなのかもしれません。デザイン性を誇示するために何かを足すという発想ではなく余計な要素を引くことから始めるデザインは日本のデザインの哲学に通じるところがありますが、街の景観づくりという点においてはフィンランドが先を行っているようです。

 

 

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