フィンランドの街では必ず新聞売りがいる?
どこの駅にいっても駅の周りは賑やかです。多くのひとが行きかう中、物売りやビラ配りも忙しく歩き回ります。そんな光景の中に新聞売りも交じっています。声を張り上げるわけでもなく、むしろ、何かのイベントか或はオブジェのようにそこに佇んでいます。フィンランドのちょっと大きな広場なら必ずといっていいほど見かける風景です。IT先進国のフィンランドでも新聞は人々の生活習慣の一部としてまだまだ根付いているようです。
ヘルシンキの中央駅の広場です。ここに一台の三輪車が止まっていました。HSのロゴを知らないひとはありません。フィンランドを代表する新聞、Helsingin Sanomat、直訳すればヘルシンキメッセージですが、日本語ではヘルシンキ新聞と呼ばれているようです。
HSは、その前身である新聞を含めると120年ほどの歴史がある新聞です。一日の発行数は40万部ほど。フィンランドの人口が500万人、ヘルシンキの人口が50万人ほどですから、40万部の発行数は驚くべき数だと言えます。新聞の購読をしている家庭も多く、ヘルシンキの75%にあたる家庭がHSを定期購読しているとか。やや比率が高すぎる感もありますが、とにかく新聞は健在であり、家庭にまで浸透しています。
そんなに普及している新聞が広場で何をしているかですが、やや不明です。大声を張り上げて新聞を売っているわけでもありません。テーブルを並べて定期購読の申し込み受付をやっているわけでもありません。まるでそこにいるのが仕事のようでもあり、街の光景の一部となることが仕事のようでもあります。
フィンランド第二?第三?の都市タンペレでも新聞を売っています。Aamulehtiはタンペレを代表する新聞で発行部数は10万部強です。タンペレの人口は20万人ほどですから、10万部でもかなりの数と言えます。1881年の発行ですから、HSよりも10年ほど長い歴史を持ちます。Aamulehtiは、モーニングペーパー、即ち朝刊の意味です。「朝刊」という言葉がそのまま新聞の名前となっており、Aamulehtiといえば、タンペレのこの新聞の事を意味しています。130年前から名前は変わっていません。
先ほどまでひとはいましたが、テントをそのまま残してランチに行ったようです。ここでも街の風物詩となっていればそれでいいのかもしれません。生活のリズムがどんどん速くなっていく中で変化しない風景をみるとちょっとほっとした気がします。