エストニアの世界遺産は、建物だけじゃない
フィンランドの首都ヘルシンキからフェリーで2時間、エストニアの首都タリンに着く。バルトの真珠と称せられるお隣の国ラトビアの首都リガにも負けずとも劣らない街がそこにある。リガと並び、旧市街自体が世界遺産として登録されている。中世の面影を残す建物が林立しているだけではない。一歩足を踏み入れると、本当に中世の時代にいるのではないかと思わせる訳がそこにはあった。
エストニアは素朴な国だ。IT先進国として名を馳せてきてはいるが、それは一部の人の世界。
多くのひとは、伝統と何かしら結びついた生活をしている。煎ったアーモンドを売る女性。商売の為に、伝統的な衣装を着ている。あまりにも当たり前に民族衣装を着て数百年は経っている建物の前に立っている。人は変わっても同じ場所でずっとアーモンドが売られていたのではないかと思ってしまう。
現代っ子ではなく伝統っ子ともいうべきその表情や笑顔、物腰にしばし中世に浸る。煎りたてのアーモンドを食べてみた。甘い味付けにスパイスを混ぜてある。甘くて辛い。そんな味が中世にもあったとも思えないが、違和感を感じることもなく、ひとつ袋を手にした。